2005年 07月 03日
#8 月の裏側 |
月の裏側の都市、アンマンにあるエゥーゴの拠点。次の作戦に備えるため、アーガマはそこに入港する。なし崩しにパイロットをやることがすっきりしないカミーユを、エマはなだめようとするが意固地なカミーユは耳を貸さない。
一方、エゥーゴの幹部たちは連邦軍本部ジャブローを標的とした地球侵攻作戦を進めていた。宇宙のティターンズの動き、そして自分の古巣であるジオン残党勢力「アクシズ」を警戒するシャアは作戦に反対する。が、結局出資者たちには逆らえないシャアは皮肉を言うのが精一杯だった。
▼解説
エゥーゴとティターンズ。このふたつの軍事組織の激突が、「ゼータガンダム」の物語背景なのだが、その設定がかなり複雑な上、ほとんど劇中では説明されないので、かなり分かり辛くなっている。ひとことで言うなら、ティターンズは地球連邦政府の保守勢力と軍閥が結びついてできた軍国主義勢力で、表面上はジオンの残党狩りを目的とした特殊部隊にすぎない。だが、その規模はかなり大きく、ほとんど「一軍」と呼んでいいほどだ。
一方、エゥーゴはティターンズの台頭に対抗して結成された左派勢力の寄り合い所帯だ。反連邦政府運動の略称がエゥーゴ(AEUG)なのだが、実態は連邦宇宙軍の反ティターンズ派が、アナハイム・エレクトロニクスなどの軍事産業と結びついて出来た連邦軍内の秘密結社といったところだろう。シャアなどのもとジオン勢力を取り込んでいるのが特徴だ。
こういった「内乱」という戦争の形態は、85年の放映当時は「わかりづらい」「リアルじゃない」と言われていたが、それはたぶん、当時は今以上に、僕たち戦後日本に生きている人間が「戦争」と聞くとすぐに第二次世界大戦のような近代国家同士の総力戦を思い浮かべてしまっていたせいでもあると思う。だが、実際に「ファースト・ガンダム」の一年戦争のような形の「総力戦」が「戦争」のメジャーな形態だったのは1914年から45年までの(つまり両大戦間の)30年だけの話である。「戦争がリアルであったことなんて、ただの一度もありゃしないさ」と言ったのは、『機動警察パトレイバー2』の荒川」だったか。
この8話は珍しくその辺の描写が見られる希少な回なのだが、まだまだ説明不足の感は否めない。ゼータガンダムを観る際には、副読本が必要とされる所以だ。
by zgundam2nd
| 2005-07-03 23:00